2022年の自選5首

2022年の自選短歌5首

失った名前は肺のかたすみに霜を置くから何度も呼んだ

「愛から醒めて」/「短歌研究」4月号

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きみといるといつもかもめが背景を奥へゆく なぜかな さよなら

あかねさすオランジェットは見ていないときに満ち欠けする贈り物

「ゆきすぎる」/「遠泳」3号

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夏の一日ひとひにきみをたぐえるたわむれの詩は書き留めずともうつくしい

「思い出の灰が咲くまで」/「歌壇」6月号

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海を背にすこし歩いて落ち合った家族とまずはお蕎麦を囲む

「カピバラまんじゅう/地魚十貫」/「ねむらない樹」vol.9