見えるものと消えないもの(土岐友浩『僕は行くよ』書評)
2023年11月12日
本書において土岐は歩き、眺め、また歩く。目の前のものを精確に描写する一方で、自己と世界について思索する。2DのRPGをプレイするとき、マップを歩く主人公を見下ろす視点が、敵との遭遇エンカウント時には主観に切り替わる、そ […]
記憶と時間とふたたびくらげ
2023年11月12日
しかし、写真の解読のコードを一応身につけているわれわれでも、例えば星座図を見る場合は、隣接する二つの星が実は地球からの距離が気の遠くなるほどたがいに異なるといったことは、ふつう考えてもみない。宇宙空間を駆けめぐっている […]
ハンドクリーム・メランコリック
2023年11月12日
ハンドクリームのにおいはじぶんの手からしているにちがいないのに、けっしてじぶんのものなはずないにおいだからくらっとする。歩かないと歌ができないことに気づいて昨日の夜は晩ごはんのまえとあとに二回、散歩に行った。二回目の散 […]
関係性という幽霊、信仰という疼き ――新井煮干し子『渾名をくれ』に寄せて
2023年11月12日
さいきん思うのだけれど、「関係性」って幽霊みたいなものだ。読者として作中の2人(以上)について、たとえば「お互いすぐ憎まれ口叩くけどラブラブ」とか思ったとしても、それって外側から、あるいは上空から観察して作り上げた解釈 […]
夢のなかのミサンガ、または地の底のハーゲンダッツ・ヴェンダー
2023年11月12日
夜の話をしよう。 京都は宇宙一寒い。これは真理だ。そんな極寒の地の底にこの三月まで八年も住んでいたくせに、慣れるどころかいよいよ寒さに弱いこのごろである。新緑の季節になってもヒートテックを履いていたし、衣替えはまるま […]